区分所有法とは?気になるマンションに関わる法律について解説!

区分所有法とは

区分所有法とは、マンションのようにその文字通り区分ごとに所有するような建物におけるルールを決めている法律のことです。正式名称は、「建物の区分所有等に関する法律」とされており、これを区分所有法と呼んでいます。通常の建物とは異なり、所有関係が複雑であるため、所有者間の利害関係などを明確にし調整を行うために制定されているものです。

今回はそんなマンションに関わる重要な法律である区分所有法について、詳しく解説していきたいと思います。

マンションの大規模修繕に関する詳しい内容をまずご覧になりたい方は、こちらのリンクより参考記事をお読みください。

目次

区分所有法はどんな建物に当てはまるの?

まずは、区分所有法の対象となる建物についてご紹介していきたいと思います。区分所有法の対象となる建物は、「一棟の建物に構造上区分された、数個の部分で独立している住居・店舗・事務所または倉庫、その他建物として用途に供することができるものがある」という内容のものです。

簡単に言えば、それぞれの空間が分けられていて、それぞれの空間に異なる所有者が存在している建物ということです。しかしそれであれば、一軒家のような建物でも部屋のように区切られている場合は、該当するのではないかと思うかもしれませんが、この場合は建物の出入り口としては共通の玄関を使って、同じ共同体で生活していることになるので、該当しません。

しかし、賃貸やマンションといったように、各部屋が区切られていて、利用する上でそれぞれが独立した空間に異なる所有者がいるので、該当するということです。余談ですが、この区分所有法は、別名で「マンション法」とも呼ばれています。

区分所有法の概念

ここで区分所有法の内容について説明していきたいと思います。今から解説する区分所有法の概要については、居住者も知っておいた方がいい内容があるので、しっかりと確認しておきましょう。

専有部分と共有部分

マンションなどにお住まいの方であれば、この二つのワードを耳にしたことがある方もいらっしゃるかと思います。これらは、区分所有法においても言及されています。まず、区分所有されている建物において、区分されたところを所有する権利のことを「区分所有権」と言い、その権利を持っている人のことを「区分所有者」と言います。

そして、その区分所有者が所有している部分のことを「専有部分」、それ以外の場所のことを「共有部分」としています。マンションで考えると、壁やドアなどで区切られた内側のことを専有部分とし、それ以外の場所は共有部分となります。ここで注意しておきたいのは、壁やドアで区切られた内側が専有部分とされているので、実はバルコニーも共有部分となるということです。

管理組合について

区分所有法の概要を説明していく上でとても重要なポイントとなるのが、この管理組合についての内容です。マンションを所有の方であれば、この管理組合についての知識がすでにある方もいらっしゃるかと思われますが、実はこの管理組合はこの区分所有法によって定められています。

区分所有法では、マンションの管理を行うための区分所有者全員からなる団体として管理組合が規定されています。この管理組合は、マンションにおける共用部分の管理をしたり、大規模修繕の進行を取り仕切ったり、集会を開いてそのマンションにおける規約などを制定するなど、マンションの運営を行う団体のことを指します。

そしてこの区分所有法の中では、管理組合の当然の成立とあります。区分所有の建物であるマンションにおいては必ず管理組合が存在することと定義し、その内容についても細かく記載されています。主な内容としては、管理組合の理事長が持つ権利や、管理組合が「規則」を制定する場合の決定事項などが記載されています。

規約について

区分所有法における専有部分と共有部分の区分けであったり、管理組合の制定などといったルールの他に、マンション毎に細かいルールを設ける必要があります。例えば共用部分の使用について、どのような管理体制を取っていくのか、また管理費や修繕積立金などをどのように設定していくのかなど、様々な追加のルールが必要になってきます。

そこで、区分所有法では、規約を制定する上でのルールがあらかじめ記載されています。その内容とは、管理組合が開く集会で、区分所有者の3/4以上の賛成を得ることができれば作成、変更、破棄することができるというものです。実は、マンションの規約はこの管理組合がしっかりとした規定の数値以上の賛成をとることで制定されている民主的なものなのです。

大規模修繕における区分所有法

実は、大規模修繕を行う際のルールもこの区分所有法で定められています。

大規模修繕とは、一般的にマンションにおける修理(修繕)のうち、大規模な工事を伴うもののことを指します。ここで誤解してしまいがちなのですが、この大規模修繕は先ほどの出てきた「専有部分」の話ではありません。あくまでも専有部分は区分所有者の管理する部分なので、大規模修繕には当てはまりません。なので、「共有部分」を著しく修理する工事が大規模修繕工事となります。

そしてこの大規模修繕を行うかどうかについてが、区分所有法で定められている重要な部分です。大規模修繕を行う前に、その必要性の有無を専門家を招集し、区分所有者が参加する集会における過半数を獲得した場合に実施が決定されるというものです。

なお、大規模修繕についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事にて解説しておりますので、ぜひご覧ください。

「大規模修繕とは」のリンクを貼る

建て替えについて

先ほどの大規模修繕とは違って、区分所有法では、マンション自体の建替えを行う場合のルールも設定されています。これは、建て替え決議と呼ばれるもので、区分所有者の4/5以上の賛成が得られた場合にマンションの建替えを行うことができるというものです。

また、マンションとは異なりますが団地における建て替えを行う場合は、団地全体の4/5以上の賛成、加えてそれぞれの棟で2/3以上の賛成を得なければならないという団地一括建て替え決議というものも区分所有法にて定められています。

区分所有法の変遷

ここまで区分所有法の内容について見てきましたが、ここで少し区分所有法の歴史について軽く触れて見たいと思います。

区分所有法が最初に制定されたのは、昭和37年でした。この当時は分譲マンションというものが少なく、中高層のマンション自体もそれほど多くありませんでした。区分所有の建物というと、集合住宅である長屋住宅などといったイメージが強く、それほど細かく内容が定められたものではありませんでした。

しかし、昭和40年代に入ると区分所有の建物であるマンションが各地に爆発的に増えてきました。すると、制定当初では予想することのできなかった問題が発生し始め、管理組合についての規則も明確ではなかったので、対処することが難しい内容となっていました。

そのため、昭和58年に大改正が行なわれることになります。

この改正では主に、それまでに問題になっていた管理組合の決議の際の取り決めについて詳しく定めることになりました。それまでは、全員一致という高いハードルで管理組合の決定事項を定めていましたが、それぞれの決定に過半数や特定数の決議を導入しました。

そして平成14年に最後の改正が行われます。

この改正では、先述したように大規模修繕や建て替えにおける取り決め事項が追加されました。

このようにして区分所有法は紆余曲折の歴史を経て、マンションにおける重要な法律として確立されていきました。

まとめ

今回は、区分所有法の内容と区分所有法の歴史について解説してきました。マンションは一軒家とは違って、居住者が同じ建物を共有して暮らしていくものです。そのため決まりごとや管理の仕方は統一して良い居住環境を作っていかなくてはなりません。

今お住まいのマンションや、これからマンションに住むことを考えている方はこれらの知識をしっかりと把握しておきましょう。なお今回でも取り上げた大規模修繕に関するご相談は、株式会社繕にて無料でお気軽に行うことが可能ですので、気になる方はぜひお問い合わせください。

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